「考える縫製工場」国内一貫生産

日本の縫製業の実情と私たちの願い

日本の縫製業の実情と私たちの願いを綴りました。

繊維・縫製業界の実情

日本では縫製にたずさわる人の数は確実に減っています。
なぜなら、縫製工場がより安価なコストを目指して海外へ流出しているからです。
そして縫製だけでなく、繊維にまつわる産業が日本から消えつつあります。

かつて、維産業が日本の中心的役割を担っていたころには、上の原料生産から川下の縫製業や仕上げ仕事までたくさんの人たちが繊維の仕事にたずさわってきました。

しかし、産業構造が変化する中で、繊維の仕事は次第に日本には必要のない産業に変わってしまいました。
海外の安価な労働力で生産されたものが、輸入障壁もほとんどない状態で、国内へ入ってきます。

価格の相場が海外製品に押されて、安くなっていけば、当然国内製造業もそれに合わせて安くするように求められていきます。
労働賃金の差が10倍もある中では到底太刀打ちでません。

徐々に国内で生産していたメーカーも海外へシフトしていきました。

親会社は海外へ生産拠点を移せば解決するのですが、資金力のない下請けメーカーはそうはいきません。下請けの会社は親会社から見放されれば、生きるすべがなくなります。
今まで親会社のために頑張ってきた下請けが、親会社の海外転出にともなって廃業に追い込まれていきました。

当工房は幸い大きな売上をあげてくれるお客様との取引がなくなったときに、別のお客様と取引をはじめられたこともあり、
今日まで継続して事業をさせていただいておりますが、今では国内の生産拠点は少なくなっています。

職人は高齢化しています。

工場がすくなくなれば、当然、職人の数も減っていきます。
今では30代、40代で縫製にたずさわる人は少なく、ほとんどが50歳以上の方たちです。
中には80歳をすぎてもつづけています。

そういう方は、非常に頭もしっかりしてらっしゃいますし、良い商品を上げる力があります。
しかしやはり仕事自体は地味でまた忍耐強い訓練が必要な仕事であり、次世代に受け継いでいく人材がいないというのが実情です。

お客様のご要望が細分化されています。

そのような状況ですが、いまはチャンスでもあります。
なぜならお客様のニーズが非常に細分化されてきており、小ロット生産のニーズが増えてきているからです。
またお客様の意識も「手作りへの関心」や「環境への配慮」など考え方が変わってきています。
厳しいことに変わりありませんが、一筋の光が差し込んでいると感じています。

今後について

繊維の仕事は先進の技術からは遠く離れた存在かもしれませんが、生活に深く根付き、また心を癒してくれる存在でもあります。
そんな布製品を国内でつくれないというのは非常に寂しいことです。

われわれも少しでも国内縫製業が継続・発展していけるよう、海外生産に勝てるしくみづくりを日々工夫しております。
なにより、チームワークと改善を日々継続していくことで、発展していけるよう努力をしていきたいと思います。

そして、繊維にたずさわる職人が誇りをもっていきていけるようなそんな土壌を育てていきたいと願っております。